ONKYOスピーカーの名機を解説!歴史から中古品まで

ONKYOスピーカーの名機を解説!歴史から中古品まで

オーディオファンを魅了し続けるONKYOのスピーカー。その輝かしい歴史の中から、語り継がれる名機を探している方も多いのではないでしょうか。しかし、70年代、80年代、90年代、そして2000年代と各時代に登場したモデルの一覧や、生産終了となった現在の中古おすすめ品の選び方には、失敗や後悔をしないための知識が求められます。また、そもそもONKYOはどうなったのか、という疑問をお持ちかもしれません。この記事では、ONKYOスピーカーの豊かな歴史を振り返りながら、今なお価値を失わない名機たちの魅力と、賢い探し方を徹底的に解説します。

この記事でわかること
  • ONKYOスピーカーが歩んできた輝かしい歴史
  • 年代ごとの代表的な名機モデルとその特徴
  • 生産終了したモデルを中古で探す際のポイント
  • ONKYOブランドの現状と今後の展望
目次

時代を彩ったONKYOスピーカーの名機たち

時代を彩ったONKYOスピーカーの名機たち
画像はイメージです
  • ONKYOのオーディオが歩んだ歴史
  • 日本のオーディオ黎明期70年代
  • スピーカー技術が躍進した80年代
  • 多くのファンを魅了した90年代
  • 新たな時代へ挑戦した2000年代

ONKYOのオーディオが歩んだ歴史

https://www.teac.co.jp/jp/support/news/7762

ONKYO、その名は「音響」に由来し、日本のオーディオ史において非常に重要な位置を占めるブランドです。1946年の創業以来、一貫して音の質を追求し続け、多くの革新的な製品を世に送り出してきました。特にスピーカー開発においては、独自の技術と哲学に基づいた製品づくりで、国内外のオーディオファンから高い評価を獲得しています。

ONKYOの歴史は、常に挑戦の連続でした。戦後の混乱期に産声を上げ、ラジオの部品製造からスタートした事業は、やがてHi-Fiオーディオの世界へと大きく舵を切ります。彼らが目指したのは、原音に忠実で、かつ聴く人の心に響くサウンドの実現でした。そのために、スピーカーの心臓部であるユニットの自社開発に早くから着手し、素材選びから設計に至るまで、一切の妥協を許さない姿勢を貫いたのです。このこだわりが、後に数々の名機を生み出す礎となったことは言うまでもありません。

時代ごとの音楽メディアの変遷にも、ONKYOは柔軟に対応してきました。アナログレコードの全盛期から、CD、そしてハイレゾ音源が主流となる現代に至るまで、それぞれのメディアが持つポテンシャルを最大限に引き出すスピーカーを開発し続けたのです。この姿勢が、長年にわたり多くのファンに支持され続ける理由の一つと考えられます。

日本のオーディオ黎明期70年代

1970年代は、日本のオーディオ文化が大きく花開いた時代です。多くの家庭にステレオセットが普及し始め、より良い音で音楽を楽しみたいというニーズが高まりました。この時代にONKYOが発表したスピーカーは、後の製品開発の方向性を決定づける重要なモデルばかりです。

この時期のONKYOスピーカーの特徴は、密閉型やバスレフ型といったエンクロージャーの基本構造を突き詰め、バランスの取れたサウンドを目指していた点にあります。特に有名なモデルとしては「E-83A」や「Scepterシリーズ」の初期モデルが挙げられます。これらのスピーカーは、大口径のウーファーを搭載し、豊かで厚みのある低音再生能力を誇りました。

https://audio-heritage.jp/ONKYO/speaker/e-83a.html

70年代モデルの魅力と注意点

70年代のモデルを今手に入れる魅力は、何と言ってもアナログレコードとの相性の良さにあります。当時の設計思想が、暖かみのある人間的なサウンドを生み出し、レコード特有の豊かな響きを余すところなく伝えてくれます。

一方で、中古で探す際には注意も必要です。製造から半世紀近くが経過しているため、スピーカーユニットのエッジ(振動板の周囲にある柔軟な部品)が劣化している可能性が高くなります。ウレタン製のエッジは特に経年劣化しやすく、ボロボロになっていることも少なくありません。購入を検討する際は、エッジが交換されているか、あるいは修理可能かどうかを確認することが鍵となります。

スピーカー技術が躍進した80年代

1980年代に入ると、オーディオ技術はデジタル化の波に乗り、飛躍的な進化を遂げます。1982年に登場したCD(コンパクトディスク)は、音楽の楽しみ方を一変させ、スピーカーにもより高精細な表現力が求められるようになりました。ONKYOもこの時代の変化に対応し、数々の革新的な技術を投入したモデルを発表します。

この時代を象徴する名機として、まず名前が挙がるのが「D-77」シリーズです。1985年に初代モデルが登場して以来、改良を重ねながら長きにわたり生産されたこのシリーズは、ONKYOの顔とも言える存在になりました。30cmを超える大口径ウーファーを搭載し、迫力ある低音とクリアな中高音を両立させたサウンドは、多くのオーディオファンを唸らせました。

D-77
https://audio-heritage.jp/ONKYO/speaker/d-77.html

技術革新の具体例

80年代のONKYOは、ユニットの素材開発にも力を注ぎました。例えば、ツィーター(高音域用ユニット)の振動板に、軽量でありながら高い剛性を持つ素材を採用することで、高域の再生限界を大きく伸ばすことに成功します。また、ウーファー(低音域用ユニット)には、独自の製法によるコーン紙を用いることで、歪みの少ないパワフルな低音再生を実現しました。これらの技術的な積み重ねが、デジタル音源の持つ繊細なニュアンスまで描き出す表現力をスピーカーにもたらしたのです。

多くのファンを魅了した90年代

1990年代は、日本のオーディオ市場が最も成熟し、活気に満ちていた「黄金期」と称されます。各メーカーが技術の粋を集めた製品を競って発表し、ONKYOもまた、ブランドの評価を不動のものとする数々の名機を世に送り出しました。

この時代のONJOYスピーカーは、80年代に培った技術をさらに昇華させ、音楽性豊かなサウンドを追求した点が特徴です。代表格は、D-77シリーズの進化形である「D-77FX」や、その思想を受け継ぐモデルたちでしょう。これらのスピーカーは、ユニットの素材やネットワーク回路、エンクロージャーの構造に至るまで、細部にわたる徹底的な見直しが行われました。

D-77FX
https://audio-heritage.jp/ONKYO/speaker/d-77fx.html

その結果、力強さだけでなく、繊細な音の表情まで描き分ける表現力を獲得しました。クラシック音楽の壮大なオーケストレーションから、ジャズの熱気あふれるセッション、ロックのタイトなビートまで、あらゆるジャンルの音楽を生き生きと再生する能力は、まさしくこの時代のONKYOサウンドの真骨頂と言えます。

また、ピュアオーディオだけでなく、サラウンドサウンドへの関心が高まり始めたのもこの頃です。ONKYOはAVアンプの分野でも高い評価を得ていましたが、それに合わせて、ホームシアター用途に適したスピーカーシステムも数多く開発しました。

新たな時代へ挑戦した2000年代

2000年代に入ると、オーディオを取り巻く環境は再び大きく変化します。インターネットの普及により音楽の楽しみ方が多様化し、MP3などの圧縮音源が一般的になる一方で、SACDやDVD-Audioといった高音質メディアも登場しました。ONKYOは、このような新たな時代に対応すべく、新しい価値観を持つスピーカー開発に挑戦します。

この時代を象Aする象徴的なモデルが、ギターの響きを追求した「D-TK10」です。楽器メーカーである高峰楽器製作所との共同開発によって生まれたこのスピーカーは、エンクロージャーにギターと同じスプルース材の単板を使用するという、極めてユニークな発想で作られました。そのサウンドは、まさしくアコースティックギターそのもののような、暖かく美しい響きを持っており、従来のスピーカーの概念を覆すものとして大きな話題を呼びました。

D-TK10 https://audio-heritage.jp/ONKYO/speaker/d-tk10.html

多様化するニーズへの対応

この他にも、ONKYOは高級スピーカーで培った技術を、より小型で手頃な価格のモデルにも積極的に投入しました。PCオーディオやデスクトップオーディオといった新しいリスニングスタイルが広がる中で、省スペースでありながら本格的なサウンドを楽しめる製品は、多くのユーザーから支持を集めました。このように、伝統的なHi-Fiサウンドを守り続けると同時に、時代の変化を捉えた新しい挑戦を続ける姿勢こそが、2000年代のONKYOの特徴だったと考えられます。

伝説のONKYOスピーカー名機を探す

伝説のONKYOスピーカー名機を探す
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  • 現在、ONKYOはどうなったのか
  • 生産終了した伝説のモデルたち
  • 代表的な名機の一覧
  • 中古おすすめモデルの見つけ方
  • 語り継がれるONKYOスピーカー名機の価値

現在、ONKYOはどうなったのか

長年にわたり日本のオーディオ業界を牽引してきたONKYOですが、近年の経営状況について心配している方も少なくないでしょう。実際、ホームAV事業を手掛けていたオンキヨーホームエンターテイメント株式会社は、市場の変化に対応できず、2022年に残念ながら破産手続きを開始しました。このニュースは、多くのオーディオファンに衝撃を与えました。

しかし、ONKYOブランドが完全に消滅したわけではありません。破産に先立ち、主力であったホームAV事業は、シャープ株式会社と米国のVOXX International Corporationの合弁会社に譲渡されました。そして、オンキヨーテクノロジー株式会社がその事業を継承し、現在も「ONKYO」ブランドのAVアンプなどの開発・販売を継続しています。

つまり、事業の形は変わりましたが、ONKYOのDNAは新しい体制の下で受け継がれているのです。スピーカーに関しても、過去の名機たちが中古市場で価値を保ち続けているほか、新しい体制での今後の製品展開が期待されます。したがって、「ONKYOは終わった」のではなく、「新しい形で再生した」と捉えるのが正確な理解と言えます。

生産終了した伝説のモデルたち

ONKYOの長い歴史の中では、惜しまれつつも生産を終了した数多くのスピーカーが存在します。これらのモデルは、新品として手に入れることはできませんが、その卓越した性能と魅力的なサウンドから、現在でも中古市場で高い人気を誇り、「伝説のモデル」として語り継がれています。

生産終了モデルが人気を集める理由は、主に二つ考えられます。一つは、その時代ならではの設計思想やサウンドが持つ独特の魅力です。特にオーディオ黄金期に作られたモデルは、現代の製品とは異なる、豊かで厚みのあるサウンドを持つものが多く、アナログレコードやCDで音楽を聴くファンにとっては、かけがえのない存在となっています。

もう一つの理由は、コストパフォーマンスの高さです。当時の高級機が、現在では手頃な価格で手に入ることがあります。もちろん、状態を見極める必要はありますが、うまく探せば、現在の同価格帯の新品スピーカーでは得られないような、高いクオリティのサウンドを体験できる可能性があります。ただし、前述の通り、古いモデルにはエッジの劣化といったリスクも伴うため、購入前の確認は欠かせません。

代表的な名機の一覧

ONKYOがこれまでに生み出してきた名機は数えきれませんが、ここでは特に評価が高く、中古市場でも人気のある代表的なモデルをいくつか表形式で紹介します。それぞれのモデルが持つ特徴を比較することで、ご自身の好みやシステムに合った一台を見つける手助けになるはずです。

モデル名発売年代形式特徴
Scepterシリーズ1970年代~4ウェイ・バスレフ型などONKYOの最高級シリーズ。ホーン型ユニットを採用し、圧倒的なスケール感と実在感のあるサウンドが魅力。
D-77シリーズ
1980年代~3ウェイ・バスレフ型ONKYOの代名詞とも言えるロングセラーモデル。大口径ウーファーによる迫力の低音とバランスの良さで人気を博した。
Monitor 500/2000
1980年代2ウェイ/3ウェイ・密閉型密閉型ならではのタイトでハイスピードなサウンドが特徴。モニタースピーカーとしての性能も高く評価された。
D-1
1992年2ウェイ・バスレフ型コンパクトなサイズながら、それを超える豊かな音楽表現力を持つと評された小型スピーカーの名作。
D-TK10
2005年2ウェイ・バスレフ型ギターの製造技術を応用した単板エンクロージャーが特徴。アコースティックな美しい響きを持つ個性的なモデル。

この表はあくまで一部の例です。これら以外にも、隠れた名機は数多く存在します。中古市場を探す際は、これらの代表的なモデルを軸にしながら、様々なレビューや情報を参考に、自分だけの宝物を探すのも楽しみの一つと言えるでしょう。

中古おすすめモデルの見つけ方

生産終了したONKYOの名機を手に入れるには、中古市場で探すことになります。しかし、古い製品だけに、購入にはいくつかのポイントと注意点があります。ここでは、後悔しないための中古おすすめモデルの見つけ方を解説します。

状態の確認が最も大切

中古スピーカー選びで最も重要なのは、現物の状態を確認することです。特に以下の点は入念にチェックする必要があります。

  • ユニットの状態
    • ウーファーやツィーターのコーン紙(振動板)に凹みや破れがないかを確認します。また、ウーファーのエッジが硬化したり、ひび割れたり、崩れたりしていないかは必ず確認してください。
  • エンクロージャーの状態
    • キャビネットに大きな傷や角の潰れ、湿気による膨らみなどがないかを見ます。外観の美しさはもちろん、音質にも影響を与える場合があります。
  • 音出し確認
    • 可能であれば、実際に音を出して確認するのが理想です。左右の音量バランスが均等か、特定の音域でビリつきやノイズ(ビビり音)が発生しないかをチェックします。

購入場所の選定

購入場所としては、オーディオ専門店、リサイクルショップ、インターネットオークションなどが考えられます。

オーディオ専門店は、専門知識を持つスタッフがメンテナンスや状態確認を行っている場合が多く、品質面での安心感が高いです。価格はやや高めになる傾向がありますが、保証が付いていることもあり、初心者には特におすすめできます。

一方、インターネットオークションは掘り出し物が見つかる可能性がありますが、現物を確認できないリスクが伴います。商品説明や写真をよく読み、出品者の評価を確認するなど、慎重な判断が求められます。

いずれの場所で購入するにせよ、焦らずにじっくりと情報を集め、納得のいく一台を見つけることが、満足のいくオーディオライフへの第一歩となります。

語り継がれるONKYOスピーカー名機の価値

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これまで見てきたように、ONKYOのスピーカー、特に名機と呼ばれるモデルたちは、単なる音響製品という枠を超え、多くの人々の音楽体験を豊かにしてきました。その価値は、時代を超えて今なお色褪せることがありません。最後に、この記事で解説してきたONKYOスピーカーの名機が持つ価値について、要点をまとめて振り返ります。

この記事のまとめ
  • ONKYOは「音響」を社名の由来とする日本の老舗オーディオブランド
  • 創業以来、原音に忠実で心に響くサウンドを追求
  • 70年代はアナログレコードと相性の良い暖かみのあるモデルを多数輩出
  • 80年代はCDの登場に合わせ、D-77シリーズなど技術的に躍進した
  • 90年代はオーディオ黄金期を迎え、音楽性豊かなサウンドを確立
  • 2000年代はD-TK10など多様化するニーズに応える挑戦的な製品を開発
  • オンキヨーホームエンターテイメントは破産したがブランドは事業継承されている
  • ONKYOのDNAは新しい体制の下で現在も生き続けている
  • 生産終了したモデルは中古市場で今なお高い人気を誇る
  • 過去の名機にはその時代ならではの設計思想と魅力が詰まっている
  • 中古品は現在の新品にはない高いコストパフォーマンスを持つ可能性がある
  • 中古スピーカー購入時はユニットのエッジ劣化に特に注意が必要
  • 購入前にはエンクロージャーの状態や音出し確認をすることが望ましい
  • オーディオ専門店での購入は初心者にとって安心感が高い
  • ONKYOの名機は日本のオーディオ史を体現する文化的な遺産とも言える
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この記事を書いた人

オーディオ好きのかんりにん、アラサーです。大学生の時に高級イヤホンの音の良さに衝撃を受け、高級イヤホン沼に足を突っ込みました。
このブログは「いい音で音楽を聴く」ことで得られる幸福をもっといろんな人に知って欲しく立ち上げました。最高の据え置き環境を夢見て、皆さんと一緒に成長していくブログです。

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